【中尉Neilの記憶】をちょっと深堀り

コメント(0)

メモリースロットをちょっと深堀りしませんか?

今回のテーマは【中尉Neilの記憶】です。

なお、文字の色分けは、これまでと同様に以下のように使い分けていきます。

  • 『』で囲まれた単語
  • 「」で囲まれた単語
  • なんとなく重要そうな単語

中尉Neilの記憶

私は『軍隊』の心臓部「A-1要塞」に所属する中尉。「A-1要塞」内の厳重管理区域にそびえ立つ、巨大なパラボラアンテナを備えた『軍隊』の機密設備…「コアシステム」の管理が、私に任された仕事だ。

コアシステム」とは、角人の中に埋め込まれた『遺伝子キー』を司るサーバーのことであり、『軍隊』の秩序を保つための画期的な技術だ。今の『軍隊』は、この「コアシステム」なしには成立しない。あらゆる命令は、このシステムを介して角人に伝えられ、命令者の階級を自動で判断して角人への命令信号の強さを変更し、普段のルーチンから外れた命令を検知すれば、自動で上層部に通達してくれる。全ての角人に、サーバーから直接命令を下すこともできる。まさに『軍隊』の命令系統を管理するためのマスターピースであり、「コアシステム」によって角人は「兵器」のみならず、労働力として機能するようになったのだ。

…私が管制室に入ると、最初に全身のスキャンが開始される。その後「管理者、確認」と音声が流れ、目の前のスクリーンに膨大な情報が映し出される。今日もシステムが正常に作動していることを確認し、業務に着手する。

その日、「コアシステム」から異常を知らせる警報が鳴った。兵器開発部門第二生産ラインから、角人の不審な動きを検知したようだ。すぐにシステムを操作して詳細を調べ、該当する角人、管理番号2-1002「Cyrus」を特定した。そして「Cyrus」の『遺伝子キー』に向けて、緊急停止の信号を送った。それだけでなく、第二生産ラインで働く角人たちの命令も迅速に上書きする。「Cyrusの責任者を拘束せよ」と。この程度の緊急対応は慣れたものだった。あとは「コアシステム」の監視を同僚に任せて、現場へと赴く。『軍隊』に生じた異分子の取り締まりも、私の仕事の内だ。

現場では、システムでの命令通り、大勢の角人が一人の男を拘束していた。おそらく男は無理な抵抗を試み、角人たちに押さえつけられたのだろう。顔に青あざを作り、気を失っていた。私は緊急停止させていた「Cyrus」に、事の経緯を説明するよう命じた。「Cyrus」の話によれば、男は第二生産ラインの班長で、業務中に突然「今すぐ、この兵器生産ラインを破壊しろ」と「Cyrus」に命令を出したのだという。過酷な労働に対するボイコットか、それとも何かの腹いせか…。いずれにせよ馬鹿馬鹿しいことこの上ない。「コアシステム」の存在やその機能について一部の人間しか知らないとはいえ、これほどずさんな計画で、自分の思い通りになるとでも考えたのだろうか。もしそうなら、なんと浅はかで無計画な奴なのだろう。私は「Cyrus」にもう一度命令した。
「その男は『処分』しておけ。人員はすぐに補充する」
それを最後に、私は第二生産ラインを後にした。

ヒエラルキーによって完璧に管理されている『軍隊』でもごくまれに、あの男のような反逆者が生まれる。その多くは、日頃から『軍隊』の組織体制に不満を抱いている、うだつの上がらない下級幹部の人間だ。奴らは大抵の場合、無謀にも角人を自分たちの手足として使おうとする。『軍隊』に「コアシステム」がある限り、万に一つもその企みが成功することはないとも知らずに…。

だが、時折考えてしまうのだ。もし、上層部が誤った判断を下した場合、その時は誰が止められるのだろう…と。例えばその者の行為、思想が『軍隊』の組織にとって有害なものであったとしても、「コアシステム」は命令を忠実に遂行させてしまう。その暴走に拍車をかけることになるだろう。
「…いや、馬鹿げた考えだな」
私は自らの思考を恥じて、管制室のスクリーンに目を移す。「コアシステム」によって『軍隊』は反乱分子にも揺らがない、強固な組織であり続ける。我々はただその駒としての職務を果たしていればいい。そうしていれば、何一つ心配することはないのだ。

このスロットで「事実」として読み取れること

  • 角人の中には『遺伝子キー』が埋め込まれている
  • 遺伝子キー』を司るサーバーが「コアシステム
  • コアシステム」の存在やその機能は『軍隊』の一部の人間しか知らない
  • 軍隊』でもまれに反逆者が生まれる
  • 組織に有害なものでも、「コアシステム」は命令を忠実に遂行させる

考察テーマの設定

  • 「コアシステム」が『枷』
  • 上層部が誤った判断を下してパンデミック?
  • 「Cyrus」と第四章のキャラ Cyrusの関係

「コアシステム」が『枷』

メモリースロット【生き証人Tellerの昔語り:角ナシの支配者】や【脱走角人Alvinの記憶】には『枷』が出てくる。『枷』は角人たちの縛りとして機能し、角人から自由を奪う “呪い” となっている。この『枷』が本スロットに出てくる「コアシステム」ではないだろうか?あらゆる命令が「コアシステム」を介して角人に伝わる。全ての角人に「コアシステム」から直接命令を下すこともできるし緊急停止もできる。また、異質な命令を検知すれば自動で上層部に通達される。角人は完全に「コアシステム」に管理されている。角ナシの命令や対応に不満があり抗議したり、脱走しようとしても不審な動きとして検知されてしまう。そして、このシステム自体が『軍隊』の一部の者しか知らないので、角人はなぜ自分らの行動がすぐに把握される(バレる)のか理解できない。だから『枷』とか “呪い” と呼んでいたのではないかと。

メモリースロット【脱走角人Alvinの記憶】では施設の角ナシがみんな(「コアシステム」の管理者も)石になってしまった。「コアシステム」自体は機能していたのだろうが、管理者不在となってしまったので “『枷』の呪いが解け” たのではないかと考えた。

 

上層部が誤った判断を下しパンデミックが起きた?

メモリースロット【脱走角人Alvinの記憶】の深掘りでは、『死のウイルス』の生物兵器による可能性を考えた。その兵器の使用を上層部が判断したとしたら?抑止力として作製した生物兵器を実際に使うという誤った判断が黒い雨につながった可能性を考えてみた。例えば、メモリースロット【軍事ジャーナリストZacharyの記憶】には角人初の幕僚誕生の可能性が書かれている。角人が幕僚となり「コアシステム」の管理する側になったとしたら…理不尽な扱いを受けている他の角人を見過ごすことができるだろうか?角人幕僚は『軍隊』ためではなく他の角人のために行動を起こすかもしれない。

「Cyrus」と第四章のキャラ Cyrusの関係は?

このスロットに登場する管理番号2-1002「Cyrus」と同名のキャラが第四章にも登場する。現実世界では同姓同名がいても不思議ではないが、シンビオの世界ではこれまで例がないので、何か関連があるのではと考えてしまう。第四章に登場するキャラは角人ではないので今のところ関連は見いだせていないのだが…例えば、この世界が【Betaの記憶】のように何度も何度も繰り返しタイムリープしているとしたら?それぞれの立場で過去の記憶を引き継いでいるかもしれない。

Reference

  • Memory Slot【生き証人Tellerの昔語り:角ナシの支配者】
  • Memory Slot【脱走角人Alvinの記憶】
  • Memory Slot【軍事ジャーナリストZacharyの記憶】

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×