シンビオ独り考察 vol.41

【傭兵Assaultの記憶(第三章)】をちょっと深堀り

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メモリースロットをちょっと深堀りしませんか?

今回のテーマは【傭兵Assaultの記憶】です。

第一章(第一章の追記版)および第二章の深堀りも合わせてご覧ください。

なお、文字の色分けは、これまでと同様に以下のように使い分けていきます。

  • 『』で囲まれた単語
  • 「」で囲まれた単語
  • なんとなく重要そうな単語

傭兵Assaultの記憶(第三章)

 俺は工場の中へと進みながら、ずっと考えていた。この先にきっと、『政府』のお偉いさんが民間軍事会社を使ってでも手に入れようとし、『軍隊』がなんとしてでも死守したいと思う「何か」があるはずだと。

 箱にカエルのような脚を生やした姿のノーム型防人、「チビ箱」は、広大な工場の中を探索するために部隊を二人一組に分けるように命じた。俺はNanahushiという名前の奴と組まされた。普通の人体ではありえないほどの細い手足と胴体が特徴で、俺の昔から知っている奴だった。

 俺がNanahushiと一緒に進んでいくと、大きな研究室を発見した。扉を破壊して侵入する。設備を見ると、何かの培養施設らしい。Nanahushiが机の上に置かれていた資料を見て、小さくつぶやいた。

「奴ら…なんてことをしやがるんだ」

 俺も資料に目を通す。専門用語が多くてすべての意味を理解することはできないが、この研究室では人体を石化させるウイルスを人工的に変異させ、培養をしているらしい。

 俺はニュースで、人体を石化させるウイルスの話を聞いたことがあった。そのウイルスは何年か前にある地域で突如、自然発生したもので、99.7%の致死率を誇っていた。このウイルスは人類の脅威だとして、感染が拡大する前にワクチンが開発されたはずだ。しかし資料には「培養中の変異型のウイルスは、ワクチンの無効化に成功した」と書かれていた。Nanahushiが、ふと言った。

「俺の親、石化して死んだんだ。どうして、こんな悪魔のウイルスの培養を…」

 このウイルスが使われることがあれば、何万、何億という人間が…兵士だけでなく民間人や子供も含めて、死ぬだろう。

 俺たちが戸惑っていると、上官のチビ箱がやって来た。チビ箱は俺たちを褒めた後、少し考えて言った。

「でかした。これは『政府』に渡す契約だが、我々で接収しよう」

 チビ箱は語る。この生物兵器があれば、『政府』はもちろんあらゆる勢力に対して優位を保ちながら「交渉」をして、金を引き出せる。民間軍事会社は巨万の利益を得られるだろう。おまえたちもその一部を手にできるよう、俺が昇進させてやる…と。上官の意図を知ったNanahushiは言った。

「これは、この世に存在して良いものではありません。今ここで破棄するべきです。このウイルスは悪魔の…」

 話の途中で、Nanahushiの声が途切れた。チビ箱の上部がパカッと開いて隠し銃が現れ、Nanahushiの頭を撃ち抜いたのだ。チビ箱は言う。

「上官への指図は規律違反だ。…早く搬出するぞ」

だが俺は動かなかった。Nanahushiの死骸を見ながら、かつての自分を思い出す。世界の平和のために戦いたいと思って、防人になった日のことを…。

「どうしたAssault、早くしろ」

俺はチビ箱の声を無視して銃を抜き、ウイルスの活動維持装置に向けた。

 資料によれば、この装置が停止すればここのウイルスは死滅する。ウイルスを生産する拠点はきっと世界にいくつもあり、一つを破壊したところで世界は変わらないのかもしれない。しかしそれでも、俺は引き金を引いた。

 チビ箱の怒声が聞こえると同時に、俺は心臓を撃たれた。倒れて意識が薄れる中、視界の端に故障した活動維持装置が見えた。稼働は停止したようだ。チビ箱は悔しそうにしている。俺は初めて望み通りに戦えたことに満足しながら目を閉じた。

このスロットで「事実」として読み取れること

  • 軍隊』の工場では人体を石化させるウイルス変異型を培養
  • 変異型のウイルスは、ワクチンの無効化に成功
  • Assaultは上官の命令を無視してウイルスの活動維持装置を破壊
  • Assaultは上官に殺された

これまでの仮説

  • 工場は『軍隊』が『大学』に用意した実験・製造施設で、そこで『強化兵士』の実験や培養を行っていた(Mightyが訪れた研究施設)
  • 『強化兵士』培養過程では『死のウイルス』も使用
  • 工場の爆発事故=竜の息吹

詳細は第二章の深堀りをご覧ください。

考察テーマの設定

  • 『死のウイルス』や “謎の奇病” との関係
  • ワクチンの無効化とは?
  • このウイルスが『六勢力戦争』の引き金か?

『死のウイルス』や “謎の奇病” との関係

 人体を石化させるウイルスはメモリースロット【キャラバン兵Achieveの私記:浮遊大陸探索はじまりの日】に出てくる “ウイルス” と同じだろう。また、メモリースロット【「世界樹エネルギー研究」担当記者Rocaのスクラップ帖】に書かれている “謎の奇病” の原因であると考える。気になるのは、メモリースロット【研究者Pedroの未知のウイルス研究記録】に出てくる『死のウイルス』との前後関係だ。

 『死のウイルス』は肺に限局していると考えられ、“謎の奇病” や “ウイルス” は全身症状を引き起こしている。病原性が強くなっているので『死のウイルス』から派生した変異株が “ウイルス” で、それが “謎の奇病” を引き起こしたと考えていた。でも、違う気がしてきた。

 Assaultの “感染が拡大する前にワクチンが開発されたはずだ” は【研究者Pedroの未知のウイルス研究記録】の内容である。そして、Nanahushiは “俺の親、石化して死んだんだ” と言っている。ここから、肺だけを硬化させると思っていた『死のウイルス』は、最初から感染者の全身を石化させていたことが想像できる。よって、『死のウイルス』= “ウイルス” であり、”謎の奇病” は『死のウイルス』が原因だと考えられる。

 

ワクチンの無効化とは?

 このワクチンは、メモリースロット【研究者Pedroの未知のウイルス研究記録】で研究されていた “ウイルスの弱毒化” によるワクチンのことだろう。病原性が少ない『死のウイルス』をワクチンとして接種して免疫を作らせて、野外株の『死のウイルス』の感染を防ぐ(または発症を防ぐ)という仕組みだろう。だから、ワクチンの無効化とは、ワクチンを接種した人でも変異型のウイルスは感染する(または発症する)ということになる。

 さて、『死の汚染』=『竜の息吹』は変異型のウイルスが原因なのだろうか?メモリースロット【浮遊大陸探索部隊第四班隊長Navigatioの手記】では『死の汚染』が『浄化ワクチン』で防げることを示唆する記述がある。ワクチンと『浄化ワクチン』が同じ物であるという前提だが、この場合、『死の汚染』の原因が変異型のウイルスだと矛盾する。

 また、Hillmanが地上に出る前に血液検査で『ワクチン』の効果を確認している点も矛盾する。 “ワクチンの無効化に成功した変異型のウイルスが原因ならば、『ワクチン』の効果を確認する意味がないからだ。

 よって、『死の汚染』は変異型のウイルスが原因ではないと考える。ただし、変異型のウイルスに対して新たにワクチンを作製し、それが『ワクチン』や『浄化ワクチン』の可能性もある。その場合は『死の汚染』の原因が変異型のウイルスとなるだろう。

このウイルスが『六勢力戦争』の引き金か?

 Betaの記憶に “『六勢力戦争』の引き金となった『軍隊』” とある。『六勢力戦争』の詳細はまだ明らかではないが、私はこの変異型のウイルスが原因ではないかと仮説を立ててみた。

 変異型のウイルスは『軍隊』の工場で見つかった。そしてこの工場を守っていたのは、第二章の【傭兵Assaultの記憶】から、角人であると分かる。ただ、 “明らかに普通の人間とは異なる角の生えた頭部が覗いていた。こいつらも、俺たちのような人工的に造られた「兵器」なのだろうか” とあるので、まだ角人として認識されていない。『強化兵士』とか『Ogre』と呼ばれていたころだ。つまり、『大学』と共同開発している時期である。

 そんな時期に、『軍隊』が『大学』に内緒でウイルス兵器を研究していたとしたら、『大学』はどう思うだろうか?『軍隊』が我々を出し抜いて、とんでもない研究をしてやがったと思うのでは?これがきっかけで小競り合いが始まり、エスカレーションして『六勢力戦争』に発展したのかなと。

Reference

  • メモリースロット【キャラバン兵Achieveの私記:浮遊大陸探索はじまりの日】
  • メモリースロット【「世界樹エネルギー研究」担当記者Rocaのスクラップ帖】
  • メモリースロット【研究者Pedroの未知のウイルス研究記録】
  • メモリースロット【新米狩人Yearnの記憶:巨大トカゲ狩り】
  • メモリースロット【地上探検家Hillmanのレポート】
  • メモリースロット【傭兵Assaultの記憶(第二章)】
  • メモリースロット【軍隊兵士Mightyの記憶:「弟のBrown」】
  • メモリースロット【情報誌記者Weeklyのメモ】

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